うり坊007の本日の独り言

思いつくままに書いた雑記帳です

身の周りで感じる社会情勢の変化

 私は現在司法書士をやっております。(個人のお客様が多いので、万が一にも個人が類推されることが無いよう、司法書士業務についてはなるべくブログに書かないようにしています。)

 以前は技術系公務員でしたので、どうしても日々の業務の中で両者の違いを感じてしまいます。

 業務の性質としては、大方の予想通り、技術職は理屈で仕事を押していける事が多く、法律職は人間関係の調整が結構大変なことが多いです。

 

 また、技術職は経済的環境の変化に影響されやすく、対して法律職は社会的、政治的変化に影響されやすいように感じます。

 

 私が昔やっていた橋梁設計で言いますと、支間長40~50mくらいまでは鈑桁(Ⅰ桁)(写真①:名神高速道路)が一般的には適しているのですが、(ただし、曲線がきつい橋については桁全体にねじり力が働くため、たとえ支間長が短くても一般的にはねじり力に強い箱桁(写真②:名高速丸田町JCT)を使います)鈑桁の設計の歴史は経済的環境の変化を強く受けています。

 

(左写真①:2車線を4本の主桁で支えている)      (右写真②:曲線橋)

 

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 敗戦間もない日本では1ドルが360円だったので、鉄を輸入する費用負担が大きかったのに対し、労働者の人件費は今よりも安かったのです。

 そこで、手間がかかってもいいから鉄の量をなんとか減らすという設計をしていたのです。(例としては板厚を薄くし、その代わり座屈しないようにスティフナーを設置するなど)

 その後、円高が進んで来る一方で人件費も高騰してきます。

 そうなってくるとたとえ鉄の量を沢山使ったとしても、人の手間がかからない方が経済的だという状況になってきます。

 そして平成になってから登場したのが少数主桁橋です。(写真③:伊勢湾岸自動車道

  

(写真③:4車線を4本の主桁で支えている)

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  写真①が1車線あたり2本の主桁で支えているのに比べ、写真③は1車線あたり1本の主桁で支えています。

 見た目にもだいぶすっきりしていて、ずいぶん人の手間が減っている事が良く分かると思います。

 わかりにくいかもしれませんが、そのぶん一つ一つの桁は大きくなっています。

 

 設計業務はその時代その時代の経済的環境に合わせて常にベストの構造を追求していると言えます。

 

 それに対して、司法書士業務においては社会的、政治的変化の影響を色濃く受けています。

 先週はG20などの首脳会議が目白押しでしたが、ほとんどの会議においてパリでのテロを受け「資金洗浄防止を強化」「テロ資金を断つ」という声明が盛り込まれています。

 みなさんも最近銀行などでの本人確認が厳しくなったと感じませんか?

 あれは犯罪収益移転防止法という法律に基づくもので、テロ組織などへ資金が流れていかないようにすることを目的としています。

 我々士業が業務を行う時も、お客さんに本人確認をいちいち求めますが、今後もテロが起きる度にだんだん制度が厳しくなっていくのでしょうね。

 

 皆さんもいちいち我々に本人確認をされて不愉快かもしれませんが、国際社会情勢の変化がまわりまわって遠く我々の生活にも影響を与えているということをご理解いただき、何卒ご協力のほどよろしくお願い致します。